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意匠権と特許権の保護対象はどう違う?

人のアイデアや発明などの価値を保護する「知的財産権」。今回はその中の「意匠権」と「特許権」にスポットを当てます。両者の保護対象の違いや登録手続きに関することなど、さまざまな情報をお届けします。



意匠と特許の保護するものの違いは?


意匠権と特許権は、保護する対象に違いがあります。意匠権の保護するものは物品の「デザイン」です。物品の形や模様、色彩などに関する工業的なデザインが対象となります。

意匠は、物品全体ではなく一部分のみのデザインを対象にすることもできます。これは「部分意匠」と呼ばれる制度で、1988年から導入されています。

特許の保護対象は「技術」です。発明された物品そのものに対して特許権が与えられることもあれば、その製法に対して権利が発生することもあります。

特許も意匠も、ただ出願するだけでは権利が生じません。特許庁の行う審査に合格する必要があります。審査においては、法に定められたさまざまな条件を鑑みて、登録の可否を判断します。

特許も意匠も、過去に類似のものがないことが大切です。すでに似たものがあれば出願は却下される場合があります。また、簡単に創作できない独創的なデザイン、もしくはアイデアであるのも条件のひとつです。ほかには公序良俗に反していないかも判断材料となります。


意匠と特許の手続きの違いは?


意匠登録をしたいときは、特許庁に願書と図面を提出します。そこで審査に通れば意匠権が発生します。ただし、出願してもすんなり審査に通るとは限りません。

まず、提出書類に不備がないか調べる「方式審査」があります。この後、「実体審査」がはじまります。すでに同じデザインが存在した、などの拒絶理由があれば、審査は不合格となります。このとき、特許庁に対して「意見書」や「補正書」を提出し、これが通れば審査合格となります。

意匠登録するには、上記の手順を踏まねばなりません。おおむね1年程度はかかると考えておきましょう。特許庁に支払う費用や特許事務所への手数料を合わせると、総額15万円前後の費用がかかります。

意匠登録は、申請が通って登録料を支払うと、特許庁が意匠権発生手続きを行います。意匠権の存続期間は登録日から最長20年です。毎年「維持年金」を特許庁におさめることで、意匠権は保持されます。20年間権利を存続したい場合は合計31万4,000円が必要になります。この維持年金は途中で支払いを止めることで、意匠権の放棄をすることが可能です。

意匠のときと同じく、特許出願に際しても、特許庁への申請が必要です。特許の場合は意匠権よりも書類が増え、手続きが煩雑になります。必要書類は願書・明細書・特許請求の範囲・要約書・図面の五つです。図面は必須ではありませんが、あったほうが良い場合には作成するのをおすすめします。

特許申請したら、特許庁に「審査請求」を行います。これをしなければ審査がはじまりません。審査請求は申請してから3年以内に行う必要があります。

審査結果が不合格だった場合、特許庁へ書類を提出して意見します。このやり取りは複数回行われる場合が多く、審査終了まで長い時間がかかります。審査請求をしてから登録されるまで、平均的には2年程かかります。

審査に通ったら、出願日までさかのぼって特許権が発生します。そのため、出願中に特許権の侵害があった場合は、さかのぼって提訴可能です。特許登録までにかかる費用の合計は70万円ほどといわれています。意匠権と比べると、登録までにかかる期間も費用とともに多くなっています。


意匠での保護に適しているのは?


物品によっては、意匠と特許どちらで保護して良いか、わかりにくいことがあります。

意匠で保護するのに適しているのは、技術とデザインが密接にかかわっている物品です。例えば、デザインを変えることで物品の機能が変わってしまう場合は、技術とデザインが密接にかかわっているといえます。そういった物品の意匠登録をすれば、デザインだけでなく技術の保護も同時に可能です。

また、使っている技術は新しくはないが、デザインが他の商品と違う物品も、意匠権による保護が適しています。特許で保護できないのであれば、意匠権で保護しておくべきで、現在、こういった意匠登録出願が増えています。


特許での保護に適しているのは?


特許で保護するのに適しているのは、デザインが変わっても物品の機能が変わらないときです。もちろん、使われている科学技術が新しく発明されているのが必須となります。

物品によっては、意匠権と特許権の両方で保護できることがあります。費用や手間はかかるかもしれませんが、多数の権利を取得することで多面的に、かつ強固な保護が可能となります。必要であれば、意匠権と特許権双方の取得を検討してみても良いでしょう。


まとめ


意匠権は物品のデザインを、特許権は物品に使われている技術を保護できます。どちらも特許庁に出願して審査を受けることで登録できますが、特許の方が手続きが複雑で、期間も数年かかります。

意匠権と特許権どちらの権利を申請するか、もしくは両方の権利を取得するか、自分だけでは判断がつかない場合は、特許事務所へご相談ください。知的財産権に関する問題に詳しいスタッフが、お客さまのニーズに合った権利取得をお助けします。

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