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実用新案を申請する際にかかる期間と費用

実用新案は、物品の形状、構造、組み合わせにかかる考案(アイディア)に対する権利をいいます。発明は特許権で保護されますが、新しいものを作り出さなければならないという難しい面がある一方、実用新案は、既存の技術等を使うことができるため、発明の登竜門として利用される場合が多くなっているようです。

この実用新案を申請する際には実際どのくらいの期間がかかるのか、費用はどれくらい必要なのかについてご紹介します。

 

実用新案権とは何か?

 

実用新案権は、実用新案法によって保護されている権利です。「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるとされています。新しい発明でなくても、もともとあるものを利用して、より使いやすくするアイディアも実用新案権として認められるということです。

 

現在では普及しているシャンプーとリンスが紛らわしかったり間違いやすかったりすることを例にあげてみましょう。これらを「シャンプー容器にでこぼこをつけて区別できるようにした」というアイディアは花王というメーカーが発見、実用新案の出願をし、権利を獲得しています。もっとも、消費者の利益のために実用新案の登録を取り下げ、どのメーカーでも同じようにシャンプーボトルをでこぼこにするよう働きかけ、現在のように普及するようになりました。

 

実用新案のメリットはお手軽さでしょう。実用新案は、既存の発明を利用するもののため、特許に比べて認められるハードル(進歩性、工夫や進化の程度)が低くなっています。なぜなら、特許は今までなかった新しいものであるのに対して、実用新案は既存のものを改良したアイディアだからです。

 

そのため、アイディアが中心となっており、技術や理論がそれほど求められていないのも、申請しやすい理由になっています。不便さを改良するものやこれをつけたら便利といったアイディアを文章と図で説明できればよいとされています。

 

発明は開発に時間とお金がかかりますが、実用新案はアイディアさえ浮かべばいいという手軽さがあります。また、このアイディアを使いたいという企業も出てくる可能性があります。

 

実用新案申請から登録までにかかる期間

 

実用新案の申請から登録までどのくらいの期間が必要なのでしょうか。実用新案の審査は、特許の審査と異なり、新規性などの審査が必要ありません。申請(出願)してから3~6カ月程度で登録されることが多いです。すぐに登録され、権利を行使することができるのも大きな特徴でしょう。最も権利行使にはその前提として技術評価(特許の審査に相当)を受けることが必要です。

 

実用新案申請から登録までにかかる費用

​​​​​​​※記載の費用は2018年8月時点の情報です

既存の物を改良するアイディアを思いついたら、実用新案申請を検討するでしょう。それなりに費用がかかりますので、アイディアが既に他者が申請していないか検索してチェックして申請するようにします。実用新案の申請にかかる費用は、いくつかに分かれています。

 

・実用新案出願料

実用新案の出願をするための費用は、14,000円です。ただし、出願時に3年間分の実用新案登録費用も一緒に納める必要があります。登録費用は、1年間に2,100円で3年間6,300円です。出願時には、合計20,300円の費用が必要になります。ただし、これらは請求項の数が1つの場合の費用です。この数が増えるごとに必要な費用は加算されていきます。

・出願に関する特許事務所の手数料

実用新案の出願を特許事務所へ依頼すると、その手数料として20万~30万円必要といわれています。「いわれている」というあいまいな理由は、各特許事務所によって手数料が異なるからです。手数料が安い事務所を探して依頼することもできます。弊所では、出願時手数料が20万円+従量加算になります。

 

・実用新案の登録費用

特許庁に納める登録費用は、1年間に2,100円で、3年間までは請求項の数が1つ増えるごとに100円加算します。先ほどお伝えしたとおり登録費用は3年間分が最初に必要で、出願の際に一緒に納めることになります。

・登録に関する特許事務所の手数料

実用新案が登録された場合、特許事務所へ成功報酬として、最高5万円程度必要になるといわれています。こちらも、各特許事務所によって異なりますので、問い合わせをしてみることがおすすめです。弊所では実用新案は無審査で登録されますから、成功報酬は頂いておりません。

 

・補助金制度

実用新案権の出願だけでも、かなりの費用がかかることが分かります。しかし、未来の発明を支援する目的で、地方自治体などによる補助金制度が設けられています。こうした制度を利用して費用を抑えることも可能になっています。

 

実用新案権の有効期間は10年間

 

実用新案権の有効期間は、10年です。もともとは6年でしたが、改正によって、2005年(平成17年)からの出願から10年間権利が保護されるようになりました。実用新案権が登録されると、そのアイディアについて他社が使用している場合は、使わないよう警告を出せるようになります。この期間が10年ということになります。

 

ただし、権利侵害者への警告は、特許庁から送られてくる技術評価書を示して行う必要があります。技術評価書は、特許庁に請求しないと送られてきませんので、実用新案技術評価請求という手続きを行うことが必要です。この手続きにも特許印紙(手数料)が必要になります。手数料は、技術評価請求料金44,000円に1,000円に請求項目の数をかけて足した分だけ必要になります。これに加えて事務所手数料が必要になります。弊所の手数料は6万円になります。

 

まとめ

 

実用新案は、既存の物を利用したアイディアが権利になるので、研究者ではない素人でも申請しやすい権利になっています。

ただし、実用新案として認められるためには、一定の書式を特許庁に提出する必要があります。いいアイディアが浮かび、実用新案の申請をしたい、検討したいという方は、お気軽にお問い合わせください。

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