著作権が発生しない? “引用”とは? 引用に当たらない事例は?
著作権は人の創作物を保護する権利です。著作物と認められたものを著作者の許可なく使用するのは著作権侵害に当たります。ただ、「引用」の形式であれば自由に著作物を使える場合があります。今回は、引用についての基本的な情報をお伝えします。また、YouTubeの音楽やレシピ、フォント、結婚式BGMなどの著作権についても、簡単にご紹介します。
著作権の引用とは?
著作権は、著作権法によって定められている権利です。著作権には、「文化的な創造物」を保護する役目があります。文化的な創造物とは著作物ともいい換えることができます。文芸や学術、美術、音楽など、思想・感情を表現したものがこれに当たります。
著作権は、誰かが文化的な創造物を作った時点で発生する権利です。同じ知的財産権である特許や意匠などのように、登録する必要がありません。また、著作権の存続期間は、創作物が誕生した瞬間にはじまります。権利が消滅するのは著作者が亡くなってから50年後と、長期間存続するのも特徴です。
通常、著作物は著作者の許可なしに使用することはできません。ただ、例外として「引用」という形なら、著作者の許諾がなくとも利用できる場合があります。
引用と認められるためには、いくつかの条件をクリアしなければいけません。まずは、引用部分が自分の著作物と明瞭に区別するのが必須です。例えば、論文の中に学術書の一部分を載せたいとき、段落を区切ったり、記号で囲んだりすることで、自分の執筆部分と引用部分を区別します。また、自分の書いた文章より学術書から転載した文章が多いと、引用とは認められません。引用は、自分の著作物を補助するもののため、引用がメインになってしまってはいけません。引用の出所を明記するのも忘れないようにしましょう。
ほかにも、「この著作物には引用が必要か」、「引用している量は適切か」、「引用の方法は適切か」などの条件があります。こういった条件は、引用部分の質や量などから判断されます。
YouTubeのBGMの著作権は?
世界中で利用されている動画サイトのYouTube。自分で動画投稿する際には、BGMの著作権に注意しましょう。基本的にYouTubeで使用が認められているのは、著作権使用料フリーかつ、商用利用が可能な音楽です。一般に販売されている音楽CDのほとんどは、許可なく利用してはいけません。
著作権フリーの音楽は、さまざまなホームページから提供されています。YouTube公式が運営する「YouTubeオーディオライブラリ」からも音楽や効果音をダウンロードできます。動画を作る際、好きな音楽を探してみましょう。
ただし、もっとも安全なのは、自分で作った音楽をBGMとして使用することです。自作であれば他人の著作権を気にする必要もありません。
YouTubeのBGMの著作権に関する情報は、以下の記事に詳しく書いてあります。興味のある方はご参考ください。
参考:youtube動画のBGMの著作権の扱いは?違反にならずに楽しむには?
レシピの著作権は?
料理のレシピは、基本的に著作物として認められません。レシピは創作物ではなく、アイデアのため、著作権で保護する対象からは外れるためです。
料理本やWebの記事などに掲載されているレシピに関しては、著作権が発生します。本や記事が創作物とみなされるためです。
例えば、料理研究家が考案して料理本に載せたレシピを、一般の方が自分のブログに無断転載したとします。表現を変えず、そっくりそのままレシピをブログに載せていたとしたら、料理本の著作権を侵害したことになります。
ただ、料理研究家のアイデアを自分で書き換えてブログに掲載するのは、公的な責任を問われない場合があります。料理レシピのように、誰が書いても同じようになってしまうものは、創作的な著作物に当たらないとするためです。
もちろん、他人のアイデアを勝手に拝借してしまうのは気持ちの良いことではありません。誰かにパクリを指摘されてトラブルになる可能性もあります。料理レシピのアイデアを借りる際は、発案者の名前や参考元をしっかりと記載しましょう。
レシピの著作権については、こちらの記事もご参照ください。
参考:料理のレシピは著作物?著作権が発生するのはどこから?
フォントの著作権は?
パソコンの文字で表示されるフォントは基本的には著作物に当たりませんが、デザイン性の高い特殊なフォントは、著作物に当たる可能性があります。そのため、著作権フリーではないフォントを勝手に使用するのは著作権侵害となります。
フォントは、その見た目ではなくデータやプログラムなどが創作物として著作権で保護されます。そのため、データを勝手にコピーしたり配布したりしてはいけませんが、印刷して使うのは問題になりません。ただ、デザイン性の高い特殊なフォントであれば、その見た目にも著作権が適用されます。こういったものは勝手に印刷して使ってはいけません。
フォントの使用は、作者との契約を経て行われます。フォントを購入した場合は利用規約をよく読みましょう。記載してあるルールを守って使わなくてはいけません。
結婚式で使用するBGMの著作権は?
結婚式の会場で流すBGMには、著作権の中でも「演奏権」と「複製権」が発生します。結婚式は私的利用であると思う方もいるかもしれませんが、結婚式場はブライダル事業者がサービス提供している営利目的の場であるとみなされます。そのため、著作権使用料が発生するのです。
結婚式場を運営している事業者が著作権管理団体へ許可を取ればBGMの使用は認められます。現在、たいていの式場は著作権管理団体と契約を結んでいるため、好きなCDをかけられないということは少ないでしょう。
結婚式で流す音楽に関しては、以下の記事にて詳しくお話しています。
参考:結婚式で好きな曲をBGMに流したら著作権法違反?
まとめ
著作権の保護対象は人の意思や思想などが表現された創作物です。著作権を守るため、引用の知識を備え、正しく使いこなしましょう。著作権に関する疑問があれば、特許事務所へ相談するのがおすすめです。著作権をはじめとした、さまざまな知的財産権についての問題を解決します。